2011年12月15日木曜日

ちょっと嬉しかったこと

学生時代にBLSやACLSの学生団体にのめり込んで、医学生や一般人向けに講習会をやってた。その中で、「資格もないのに(医師免許をとってないのに)、一般人向けに講習して何かあったらどうするの?」っていう質問が時々あった。

何かって何?と思っていた。

人が突然心臓が停止した時、その場にいた人がBLS、心臓マッサージ(胸骨圧迫)や人工呼吸をするかどうかで助かる可能性が上がる。現時点では、その場にいる人がBLSをするなんて可能性はゼロに近かった。
別に、ちょっとぐらいBLSの作法が間違って伝わろうがいいじゃないと。ほっておいたら死んでしまう人がいて、現時点では多分ほっておかれていて、少しでもBLSを知ってる人がいたら、何か変わるかもしれないし、と。

もちろん、間違って教えないようにする努力は必要だと思うし、一般人向けに講習会をしよう、なんて考える連中は、だいたい熱心に勉強してるんだけど。


ただ、「資格もないのに、講習会をしてよいのか?」
という質問には、ちゃんと応えようと思って(ってか、悔しかったので)、医学生と医療従事者でBLSの指導能力を比較してみた。こういう比較試験は、思った以上に手間で、2008年夏には構想してたのだけど、ちゃんと論文になったのは2011年だった。

論文になるころには、当時の悔しさなんてすっかり忘れて、初期研修に忙殺されてて。ただ、いろんな人を巻き込んでたので、ちゃんと形にしないとな・・・って気持ちだけで、論文になったときには、やっと終わったー(笑)って。



久しぶりに学生のACLSのワークショップに参加して、偶然にこの論文の話題になった。
「この論文みせたら教授が好意的になって、学生が一般人向けにBLS教えるのを、大学が支援してくれるようになりました」と言われて、ちょっと嬉しかった。
基礎医学研究も楽しかったけど、こんな論文で、ちょっと日常の医療(今回は医学生のBLS指導)が少しでも変わる機会がみれたのは(もちろん、今の学生達の活動が熱心だからってのが大きいんだろうけど)嬉しい、ほんとに。



*BLS:一次救命処置。心臓マッサージ(胸骨圧迫)や人口呼吸、AED、救急車呼ぶとか
*ACLS:二次救命処置。病院でやる一次救命より高度な心肺蘇生