2013年12月10日火曜日

心原性ショックに対するIABP

学生との抄読会。本日のテーマは急性心筋梗塞による心原性ショックに対する、IABP(大動脈バルーンパンピング)の効果。国家試験や卒業試験の時には、その機序を覚えた記憶があるし、イヤーノートに書いていたと思います。で、その効果はいかほど?という話。

学生に渡したシナリオはこんな感じ。
使用した論文は
Intraaortic balloon support for myocardial infarction with cardiogenic shock.
IABK-SHOCK Investigators. N Engl J Med. 2012;367:1287-96. PMID 22920912


IABP使用群と使用しなかった群の死亡率はこんな感じ。30日まで追跡。差はわずか(統計学的な差はなし)。自分の専門領域と全然違うので、コメントは控えますが。NEJM上でも、Letterなともやり取りされてるみたいで、関心の高さが伺えます。

個人的には、IABPについては国家試験で学んだ以上のことは学んでおらず、初期研修も循環器に対する苦手意識(食わず嫌い・・・)のため循環器内科ローテしてないので・・・。国家試験で病態生理に基づいた記憶が、臨床上も正しいかどうかは悩ましいなと感じますね。

2013年12月8日日曜日

急性喉頭蓋炎のまとめ

急性喉頭蓋炎は、風邪のようにみえて時に窒息して死亡する可能性のある疾患の一つ。空気の通り道である声門の直上にある喉頭蓋およびその周囲が感染などをきっかけに腫脹して時に窒息してしまう。

Killer sore throat 致死的咽頭痛 の代表疾患。
くわしくは、日々是よろずER診療

一般的には咽頭痛や嚥下時痛を訴えて来院した患者の場合に、頭の片隅においておく疾患。頻度としては10万人あたり1−3人(成人の場合)なので、遭遇する可能性は、総合病院の耳鼻科を除くとそんなには遭遇しない。
ただ、風邪のようにみえる、つまり一見軽症にみえるために、見逃して&しかも窒息まで至ったケースというのはミゼラブル。まあ、医療者からみたら地雷みたいなもの。


 TEDでBrian Goldman「医師も失敗する。そのことを語ってもよいだろうか」でも例として出てます。見逃された場合は、訴訟になることも時に。

この疾患を疑った場合には、頸部軟線 Soft-tissue lateral neck radiographsを撮像し、喉頭蓋の腫脹を評価する。インターネットでいくつか転がってますが、こんな感じ。




最近フォローしてなかったけど、いくつか論文がでてます。
一番気になるのは
 Tsai KK, Wang CH. Acute epiglottitis following traditional Chinese gua sha therapy.
 CMAJ. 2013 Nov 25. [Epub ahead of print] PMID: 24277709

CMAJにAcceptされてるけど、全文読みたいとこだが。(Letterみたいですが)、Gua she therapy、、、
アジアの伝統的治療のようで、擦過して点状出血を生じさせるもの?
こんな治療もあるんだな。どの程度の効果があるのか、Standard therapyになるかはこれから検討といったとこでしょうか。