2012年3月24日土曜日

ARDSに対するエラスポール

学生との論文読む。今回の題材はARDSに対するエラスポールのメタアナリシス。
神戸大学の岩田健太郎先生がブログでも取り上げていて、学生もブログで取り上げられていたのを知っていたので、このメタアナリシスをとりあげました。

個人的には読みやすくて、学生に解説しやすい論文。
Effect of neutrophil elastase inhibitor (sivelestat sodium) in the treatment of acute lung injury (ALI) and acute respiratory distress syndrome (ARDS): a systematic review and meta-analysis.
Iwata K, et al. Intern Med. 2010;49(22):2423-32. PMID: 21088343

とりあえずまとめ。
28-30日以内の死亡率(日本の文献のみ):有意差なし(Relative risk 0.59, 95%CI 0.28~1.28)
28-30日以内の死亡率(海外の文献含む):有意差なし(Relative risk 0.95, 95%CI 0.72~1.26)

まとめると短期のPaO2/FiO2 ratioは改善するけど、
180日での死亡率はRelative risk 1.27, 95%CI 1.00~1.62)。

学生が「今日の治療指針」を持ってたので確認

2011年版
「好中球エラスターゼによる組織障害や血管透過性亢進の抑制を期待して使用される。市販後調査では、180日までの死亡率が優位に低下することが示されている。」

2012年版
「層別解析からも、発症早期で肺以外の臓器障害が少ない症例において有効であることが示されており、肺損傷発症のより早期からの使用が有効である。4臓器以上の多臓器障害を合併する患者および熱傷、外傷に伴う急性肺障害患者には投与しないことが望ましい。」


ちなみに岩田先生のブログは

「楽園はこちら側」
日本人は「足し算の誘惑」に弱いのか 医者の足し算体質、エラスポール、リスク評価能力を考える

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