2013年8月9日金曜日

短期ステロイドによる心筋梗塞

突発性難聴や顔面神経麻痺などでステロイドを短期的に使用するケースは耳鼻科では多い。(ステロイドの使用が妥当かどうかは別においといて)

CABG後の後期高齢者に対して短期ステロイド使用について相談があったので調べた論文。CABG後、PCI後など陳旧性心筋梗塞の方は患者層に一定数いるので、こういうテーマは比較的切実。
今回は
P:  CABG後の患者
I :  短期的にステロイドを使用した場合
C:  使わなかった場合に比べて
O: 新規心筋梗塞が発症しやすい・・・かどうかに焦点を絞って文献検索。

ステロイドの長期使用は、脂質代謝異常や糖尿病を誘導し、急性心筋梗塞を発症する可能性が1〜2倍程度には増幅するよう。ただ、陳旧性心筋梗塞における短期的なステロイドに関して、急性心筋梗塞の可能性について調べた論文はみつからず。

かろうじて、CABGの周術期にステロイド使用した場合の心筋梗塞の割合について、RCTのメタアナリシスは発見。




背景:
CABG周術期のステロイド使用は、CABG後のreperfusion reactionによる心筋障害を抑制し、予後の改善の可能性がある。


対象文献:
Cochrane, Medline, Embase, CINAHL, OVID
CABG周術期におけるステロイドの効果を検討したRCT



Clinical benefit of steroid use in patients undergoing cardiopulmonary bypass: a meta-analysis of randomized trials.


Pichard P Whitolock et al. Eur Heart J. 2008;29:2592-600 PMID 18664462




論文本来の目的と自分の興味は別なので、論文の内容は無視しますが、
ステロイド使用、非使用の場合の、Outcomeの比較は以下の通り。



心筋梗塞の可能性はRelative risk  0.99倍

Best availableなデータとしては、この辺かな・・・。
少なくともステロイド短期使用で心筋梗塞はなさそう・・・なのかな。
(もちろん、ステロイドの容量などなど加味すべき項目はありますけど)

0 件のコメント: