2013年11月5日火曜日

抗菌薬 or 銀コーティングで、膀胱留置カテーテル?による尿路感染は減るか?

学生との抄読会。今回はランダム化比較試験のうち、統計学有意差と臨床的有意義の違いについての解説と、膀胱留置カテーテルに関する論文。

統計学的に差があるかないか(講義では “p値が0.05未満” でよく説明される)ですが、統計学的に差があるからといってすぐに臨床に直結するわけではない。

「薬Aを投与すると、投与しない場合に治療効果が●●%よくなる」
というのが証明されたからといって、すぐに薬Aを投与するのが一般的になるのではなく、薬Aの投与によるメリットがデメリットよりも十分大きいかといったことが問題になってくる。デメリットはその薬の管理や副作用や、そのほか例えば薬価だったりいろいろです。

今回選んだ論文

膀胱留置カテーテルによる尿路感染は、カテーテルを抗菌薬などでコーティングしたら減らせるか?
Antimicrobial catheters for reduction of symptomatic urinary tract infection in adults requiring short-term catheterisation in hospital: a multicentre randomised controlled trial 
Lancet 2012; 380: 1927–35. PMID: 23134837    


Abstractに記載があるけど
事前に3.3%の尿路感染減少が有用と定義。
「We postulated that a 3.3 % absolute reduction in CAUTI would represent sufficient benefit to recommend routine use of antimicrobial catheters」
実際には2.1%しか減少しなかったのでRoutine useについてはnot recomendという形。

ほかにもっと面白い例があったと思うけど、みつからなかったのでこれにしました。
大事なのは、臨床上意味がある差(医療者・患者が期待する差)を、医療介入で出せるかどうか。統計学的な差はあくまでも統計学上の差でしかないので。


*臨床実習の学生より実習施設は銀コーティングと教えてもらった。
 この論文だけだと銀コーティングがよいのか分からないので、Meta-alanysisや、この論文へのLetterも読まないとな・・・。


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