2013年5月14日火曜日

CAST study @ 愛大、学生EBM

治療薬の効果って何?
治療効果って何?
その疑問に応えるのに、よく使用・引用されるCAST study
Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)を今回は読んでみました。
1980年代に、心筋梗塞後の心室性不整脈があると死亡率が高いことは分かっていました。病態生理から、じゃあ不整脈をなくせばいいんじゃない!?ってことで抗不整脈薬が使用され、実際、抗不整脈薬により不整脈は抑制されていたようです。



ところで、抗不整脈薬の目的って何?
不整脈をなくすこと?
それとも、不整脈による死亡を減らすこと?

1989年に報告されたCAST studyは、抗不整脈薬(当時使用されたflecainidem、encainide)は不整脈は減らすけど、死亡率は上昇させてしまう、というショッキングなRCTでした。この論文以降、不整脈対策の治療において治療効果の判定をする場合、「不整脈の減少」を掲げることに慎重にならざるを得なくなりました。

Preliminary report: effect of encainide and flecainide on mortality in randomized trial of arrhythmia suppression after myocardial infarction. The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial (CAST) Investigators.
NEJM 1989 ;321:406-412

よくEBM関連の記事で取り上げられるので、内容は知っていたのですが、実際に一度は読まないとなーと思ったのですが、ランダム化の仕方やブラインド方法など、厳密に記載されていて、1980年代には、こんなちゃんとした臨床試験が既にあったのね・・・とちょっとショックでした。

現在は不整脈を減らす方法として、埋め込み型除細動器が一般的であり、それにより不整脈を減らし、死亡率が低下してるようです。治療の効果を判定する上では、治療効果の判定は何ですべきか?を明確にしないと、思わぬ落とし穴にはまるみたいです。

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