2014年1月3日金曜日

LaRa 2nd で使用したヤツ

臨床研究って面白いですよねー?
個人的にはすごく面白いと思っています。臨床研究。

論文を書く時よりも、自分の疑問を整理して、その疑問を解決するために臨床研究を行う。その疑問が、多くの人にとって疑問になるならば、研究をちゃんと論文にして、みんなに共有する。

自分の頭の中と、手元のデータで 自分用に研究してるのは楽しい。
研究が論文になって多くの人に読まれて活用されるともっと面白い。


じゃあ、この楽しさは、どうやれば共有できるか?


過去の記事だと「ちょっと嬉しかったこと」「続・幸せな気分になれる臨床研究のすすめ」などに書いてますが・・・

自分にとっての研究は、学部生時代に基礎教室にお邪魔させて頂いて、研究&論文を書いたってのがはじめのスタートでした。1〜3年まで生理学教室、3〜4年に耳鼻科学教室に所属し、培養細胞とスナネズミと戯れてたと思います。

大学4−5年になって、マッシー池田のRoad to BMJを読んで、基礎研究でなくても日常診療の疑問がトップジャーナルにちゃんと掲載されるのをみて、へー、臨床研究すげーなって思って、池田先生らの指導をうけて実際に臨床研究もやってみました。

これまでにいくつかの研究をやりましたが、自分自身も未だにlearnerであり、研究手法を学ぶ必要があります。それとは別に、今度はEducatorとしてもありたいなと。今、学生と論文読んでますが、次のステップとしては一緒に研究ができればいいなとも思う。じゃあどうやって研究手法(投稿の仕方も含めて)を伝えていくか、その面白さをどう伝えるか、となると、やっぱ難しいと悩みます。

ちょうど、6年生の時に、臨床研究のすすめみたいなのを、学生ACLSのメンバ向けにやったのが残ってたので掘り起こし。自分ってこんなこと考えてたいのねー。こんなスライドは今となっては作れないな、、、


2013年12月10日火曜日

心原性ショックに対するIABP

学生との抄読会。本日のテーマは急性心筋梗塞による心原性ショックに対する、IABP(大動脈バルーンパンピング)の効果。国家試験や卒業試験の時には、その機序を覚えた記憶があるし、イヤーノートに書いていたと思います。で、その効果はいかほど?という話。

学生に渡したシナリオはこんな感じ。
使用した論文は
Intraaortic balloon support for myocardial infarction with cardiogenic shock.
IABK-SHOCK Investigators. N Engl J Med. 2012;367:1287-96. PMID 22920912


IABP使用群と使用しなかった群の死亡率はこんな感じ。30日まで追跡。差はわずか(統計学的な差はなし)。自分の専門領域と全然違うので、コメントは控えますが。NEJM上でも、Letterなともやり取りされてるみたいで、関心の高さが伺えます。

個人的には、IABPについては国家試験で学んだ以上のことは学んでおらず、初期研修も循環器に対する苦手意識(食わず嫌い・・・)のため循環器内科ローテしてないので・・・。国家試験で病態生理に基づいた記憶が、臨床上も正しいかどうかは悩ましいなと感じますね。

2013年12月8日日曜日

急性喉頭蓋炎のまとめ

急性喉頭蓋炎は、風邪のようにみえて時に窒息して死亡する可能性のある疾患の一つ。空気の通り道である声門の直上にある喉頭蓋およびその周囲が感染などをきっかけに腫脹して時に窒息してしまう。

Killer sore throat 致死的咽頭痛 の代表疾患。
くわしくは、日々是よろずER診療

一般的には咽頭痛や嚥下時痛を訴えて来院した患者の場合に、頭の片隅においておく疾患。頻度としては10万人あたり1−3人(成人の場合)なので、遭遇する可能性は、総合病院の耳鼻科を除くとそんなには遭遇しない。
ただ、風邪のようにみえる、つまり一見軽症にみえるために、見逃して&しかも窒息まで至ったケースというのはミゼラブル。まあ、医療者からみたら地雷みたいなもの。


 TEDでBrian Goldman「医師も失敗する。そのことを語ってもよいだろうか」でも例として出てます。見逃された場合は、訴訟になることも時に。

この疾患を疑った場合には、頸部軟線 Soft-tissue lateral neck radiographsを撮像し、喉頭蓋の腫脹を評価する。インターネットでいくつか転がってますが、こんな感じ。




最近フォローしてなかったけど、いくつか論文がでてます。
一番気になるのは
 Tsai KK, Wang CH. Acute epiglottitis following traditional Chinese gua sha therapy.
 CMAJ. 2013 Nov 25. [Epub ahead of print] PMID: 24277709

CMAJにAcceptされてるけど、全文読みたいとこだが。(Letterみたいですが)、Gua she therapy、、、
アジアの伝統的治療のようで、擦過して点状出血を生じさせるもの?
こんな治療もあるんだな。どの程度の効果があるのか、Standard therapyになるかはこれから検討といったとこでしょうか。






2013年11月29日金曜日

涙嚢鼻腔吻合DCR 術後のステント留置は必要?

鼻涙管狭窄症に対する涙嚢鼻腔吻合術。
術後に吻合部にステントを入れるかどうかについてのレビュー。

先週ぐらいに筑波の先生がこられた時にも話題になりましたが、
涙嚢鼻腔吻合術(DCR)後の閉塞をどうやって防ぐのか。
縫合の仕方を工夫したら術後再閉塞はないとか、ステントはいれた方がいいとか、ステントには●●がいいとかいろいろ意見はありますが、じゃあ現状でのBest availavle evidenceはどうなのか。

Is postoperative stenting necessary in endoscopic dacryocystorhinostomy?
Liang J, Lane A. 
Laryngoscope. 2013 Nov;123(11):2589-90. PMID: 23620087

ランダム化比較試験も3つほどあるらしく、以下のようなまとめです。
結局ステントをいれたほうがよいかどうかは不明。あまり差はないので、自分の信じる方向でよいんでしょうか。


ステントの留置期間は8週が2つ。
フォローアップは半年はしたほうが信頼性のあるデータなのかな。
自分の術後成績を評価するなら、半年は期間が必要そう。
いつごろ再閉塞するのかは、患者説明にデータ欲しいので論文読み込み要。


2013年11月28日木曜日

VTTQによる頸部リンパ節転移の評価

ARFIやVTTQを用いた頸部リンパ節転移の評価。
前に論文を書いたのを記事に書きましたが、やはりちょっと気になるので時々、この領域については研究発表の状況は気になるところ。

まあ・・・頸部リンパ節に関して熱い情熱を燃やす人は、かなり少ないのでしょうが。
頸部リンパ節だと、このあたり。他には目立たなそう。

Meng W, Xing P, Chen Q, Wu C.
Eur J Radiol. 2013 Oct;82(10):1788-92. PMID: 23820176
医中誌でもあまり報告はないのですが重粒子医科学センターで研究が進んでいそう。

甲状腺関連だとそれなりに報告はでつつあるようで。

3.
Zhang YF, Xu HX, He Y, Liu C, Guo LH, Liu LN, Xu JM.
PLoS One. 2012;7(11):e49094. doi: 10.1371/journal.pone.0049094. Epub 2012 Nov 13.
PMID:
 
23152855
 
[PubMed - indexed for MEDLINE]
7.
Zhang FJ, Han RL.
Eur J Radiol. 2013 Nov;82(11):e686-90. doi: 10.1016/j.ejrad.2013.06.027. Epub 2013 Jul 29.
PMID:
 
23906442
 
[PubMed - in process]
Related citationsだと

肝臓領域での進歩がやはり先攻して、それ以降に他の領域での適応も広がっていくのか。Elastgraphyとの相違や有用性の問題などが気になります。
Elastgraphyは周囲の組織とひずみの仕方の差で硬さを推定すると思うのですが(あまり使用しないのでちょっと不安)、頸部の場合、頸部でこぼこしててElastgraphyで硬さを相対評価するための、相対するものが必ずしもない。
過去の報告では胸鎖乳突筋との比で硬さを想定してましたが、胸鎖乳突筋が必ず評価したい頸部リンパ節と同一画面にうつる保障はないため、頸部においてはARFI/VTTQの方が有用?

・・・まっ、FNAを気軽にやるのも選択肢だと思います。FNA related metastasisの頻度の報告がしりたい、case reportないかなーと思うんですけど、見つからねーなー。

2013年11月19日火曜日

JIKEI heart study

学生との抄読会。今回でRCTは終了の予定。次回からはMeta-analysisにうつるので、これまでの復習と確認。
今回の論文はJIKEI heart study。ディオバン関連の不祥事?のために論文自体はとりけされました。論文もダウンロードするとRETRACTEDと赤文字でかかれてますが、一応読めます。

学生からの要望もあったので、選択。やっぱり、何故JIKEI heart studyがまずかったのか、自分で判断できる目が必要だろうし。この論文の問題はいろいろなHPでみることができるのですが、一つはPrimary endpointの変更。で、試験デザインがPROBE法なため。

治療効果を判定する研究の場合、何でもって治療効果を評価するかは事前に決定しておく必要があります。あとで変更するのはありえない。医学研究以外を例にすると・・・

野球の試合が終わったあとに、自分のチームは得点は少ないが、相手チームより本塁打が多いから自分たちの勝ちだ、ということです。

事前に設定したルール :得点多い方が勝ち
後出しで設定したルール:本塁打が多い方が勝ち

まあ、野球ではありえないですが、こういうことです。

PROBEについては医学会新聞のまとめが好きなのでこちら

JIKEI Heart Study
Valsartan in a Japanese population with hypertension and other cardiovascular disease (Jikei Heart Study): a randomised, open-label, blinded endpoint morbidity-mortality study.
Mochizuki S, et al (Jikei Heart Study group). 

Lancet. 2007 Apr 28;369(9571):1431-9. PMID:17467513




…Primary endpointの変更については、design論文よまないと分からないのですけど。

2013年11月16日土曜日

名刺作成

病院見学などのため名刺作成。
無機質な名刺は余ってるので、ちょっと今回はデザインをいじる。











いくつかの画像を読み込んで、加工してみました。
顔面神経をイメージしてみました。
HPにも使用。とりあえず満足、ちょっと時間かかったけど・・・。

2013年11月9日土曜日

人工内耳

自分の専門を聞かれることがある。医学生のころはどの科も面白かったけど、やっぱ手を動かしたいなーということで(座学嫌いだし)外科系。
医学生のころは医療崩壊とか言われてなくて、救急車のたらい回しとかも話題になく、つまり医療=安全というイメージ。その中で、救命は当たり前にできるんだったら、QOLを改善する機能外科の方がヒトに求められそうと思い、

触覚 → 皮膚科?
視覚 → 眼科?
聴覚 → 耳鼻科?
嗅覚 → 耳鼻科?
味覚 → 耳鼻科?

で、耳鼻科も悪くないなーと思った。
実際には感覚器も種々の科がオーバーラップしてる部分はあるし、感覚器の治療って神経再生に関わってなかなかできないんですけどね。

一番QOLの改善に役立つなと思うのは、音声や聴覚に改善をもたらした時。
特に人工内耳埋込術で、全然耳が聞こえないヒトが、手術によって音が聞こえる瞬間ってのは、耳が聞こえなくなったヒトにとっては感動の瞬間。

Youtubeにあった「29 years old and hearing myself for the 1st time!」。生まれつき聴覚に障害のある29歳の女性が、生まれて初めて自分の声や人の声などを「聞いた」時の映像。
聴力を失ってしまった人、または今まで音を聞いたなかった人が、音が聞こえるようになった瞬間ってのは感動的だし、よかったなと思います。この29歳の女性の笑顔も素敵です。



born deaf の割に、speaking が smooth なのは
中等度難聴でhearing aidで対応してたのかな。
進行性難聴で29歳で人工内耳なのかなー。

・・・人工内耳を何歳までするかってのに、最近は悩まされます。

2013年11月5日火曜日

抗菌薬 or 銀コーティングで、膀胱留置カテーテル?による尿路感染は減るか?

学生との抄読会。今回はランダム化比較試験のうち、統計学有意差と臨床的有意義の違いについての解説と、膀胱留置カテーテルに関する論文。

統計学的に差があるかないか(講義では “p値が0.05未満” でよく説明される)ですが、統計学的に差があるからといってすぐに臨床に直結するわけではない。

「薬Aを投与すると、投与しない場合に治療効果が●●%よくなる」
というのが証明されたからといって、すぐに薬Aを投与するのが一般的になるのではなく、薬Aの投与によるメリットがデメリットよりも十分大きいかといったことが問題になってくる。デメリットはその薬の管理や副作用や、そのほか例えば薬価だったりいろいろです。

今回選んだ論文

膀胱留置カテーテルによる尿路感染は、カテーテルを抗菌薬などでコーティングしたら減らせるか?
Antimicrobial catheters for reduction of symptomatic urinary tract infection in adults requiring short-term catheterisation in hospital: a multicentre randomised controlled trial 
Lancet 2012; 380: 1927–35. PMID: 23134837    


Abstractに記載があるけど
事前に3.3%の尿路感染減少が有用と定義。
「We postulated that a 3.3 % absolute reduction in CAUTI would represent sufficient benefit to recommend routine use of antimicrobial catheters」
実際には2.1%しか減少しなかったのでRoutine useについてはnot recomendという形。

ほかにもっと面白い例があったと思うけど、みつからなかったのでこれにしました。
大事なのは、臨床上意味がある差(医療者・患者が期待する差)を、医療介入で出せるかどうか。統計学的な差はあくまでも統計学上の差でしかないので。


*臨床実習の学生より実習施設は銀コーティングと教えてもらった。
 この論文だけだと銀コーティングがよいのか分からないので、Meta-alanysisや、この論文へのLetterも読まないとな・・・。


2013年10月3日木曜日

抄読会 True/Surrogate Endpoint

今年も再開した学生との論文の抄読会。
昨年はあまり考えず、読みたいと思った論文を読んでいましたが、今年はちょっと系統的にランダム化比較試験、メタアナリシスを読む予定。

ということで、今日はCAST studyから。
ランダム化比較試験におけるTrue endpoint と Surrogate endpointの違いについて学ぶために選んでみました。

●True endpoint
 本当に大事にしたい効果
●Surrogate endpoint
 本当に大事にしたいやつが測定できないので代理に測定するもの。

よくあるのは・・・
糖尿病のTrue endpointは死亡率の低下や腎不全導入の減少。Surrogeteは血糖低下、HbA1cの低下。高血圧ならTrueは脳卒中の減少、Surrogateは血圧低下。

時々患者さんの中で、血圧が下がった、HbA1cが下がったと一喜一憂するケースがありますが(これはこれでいいんですけど)、本当の意味では死亡率の低下などを患者さんは望んでいるわけで。
一喜一憂してて、
ちゃんと血糖を下げる薬のんでたのに透析になった・・・血圧を下げる薬を飲んでたけど、脳卒中になった・・・っていうケースがありうるので。True / Surrogateの認識は大事です。

CAST studyについては去年も読んだので、そちらを参照